死亡日からなるべく早く(故人の財産調査、遺産分割協議の開始、協議不成立の場合、調停・審判)

こんな人のために書きました!
・財産調査の方法を知りたい人
・遺産分割協議の内容を知りたい人

故人が保有していた財産や、借金などを調べる必要があります。正確な財産調査により、「円滑な遺産分割」「正確な相続税申告」「故人の借金の肩代わりの回避」が可能となります。

① 遺品整理、財産の調査方法

遺品を整理する中で、通帳や株券・その他相続に関する書類などは必ず保管するようにしてください。また、高価(時価50万円超以上と推定されるもの)な宝石類や骨董品などの価値が高いものは相続税の対象となります。高価なものを形見分けとして贈る場合、贈与税がかかることもあるので、注意が必要です。支払いの証明である領収書は、名義書換や更新の手続きで必要になる可能性があるため、過去1年間に支払った領収書はきちんと整理整頓して保管するようにしてください。日記、手帳、手紙類なども、後日必要となる可能性があるため、同様に過去1年分を目安として保管してください。

故人が使用していた携帯電話・パソコンなどもデータの中身を確認し、必要なデータは別に保存しておくか、または処分せずに、そのまま保管するようにしてください。

□主な相続財産の調査方法

財産の種類 調査方法
現金・預金 自宅金庫、通帳、カード、銀行の残高証明
不動産 登記簿謄本、固定資産納税通知書、権利書(登記識別情報通知、登記済証)
借地権、借家権 登記簿謄本、賃貸借契約書、不動産業者への問い合わせ
生命保険 保険証券、保険会社への問合せ
株式・その他有価証券 証券会社から送付される通知書、証券会社への問合せ、金庫等
ゴルフ会員権 金庫等
宝石、骨董品 自宅、貸金庫、別荘等
自動車、バイク、船 車検証等

相続財産のうち、被相続人に債務があることを確認した場合には、早急に相続放棄または限定承認を検討してください。

② 遺産分割協議の開始

遺言書がない場合、遺産内容の確認が終わり、相続人となる人が確定したら、遺産分割協議を行います。

法定相続人全員が参加する必要があり、たとえ一人でも行方不明になっていた場合や、認知症で意思表示ができない場合などには、この時点で遺産分割協議がなりたちません。この場合には、成年後見人や不在者財産管理人などの代理人を立てて手続きを行います。

遺産分割協議書には相続人全員が自署及び実印を押して印鑑証明書を添付しなければ、各相続手続ができないので、音信不通の親族がいる場合でも連絡を取り合う必要があります。(遺産分割協議書の作成方法は別途、説明させて頂きます。)

遺産の分割方法は4つあります。遺産の状況に応じて、分割方法を組み合わせて使用します。

□分割方法

現物分割 共有分割 換価分割 代償分割
分割方法 遺産を現物のままで分割する方法で、分割の原則的な方法。 財産の一部、あるいは全部を相続人が共同で所有する方法。 財産を全部または一部を売却し、金銭に換えて、その代金を分割する方法。 ある相続人が財産の現物を相続し、他の相続人に対して自分の財産を支払う方法。
メリット ・分かりやすい。

・財産を現物のまま残せる。

・公平な分割が可能。

・財産を現物のまま残せる。

・公平な分割が可能。

・現物分割の補填に使える。

・財産の多くが不動産や事業用資産、非上場株式などの場合で、後継者に相続させたい場合に有効。
デメリット ・相続割合通りに分けることが難しい。 ・財産の利用や処分が大変。

・共有者に次の相続が発生すると利害関係が複雑となる。

・財産の現物が残らない。

・売却に費用と手間が係る。

・譲渡益に所得税が発生する。

・他の相続人の相続分の代償として支払う資産が必要。

・不動産で支払うと譲渡益に所得税が発生する。

家と土地は妻、預貯金は長男、株式は次男など、個々の財産を各相続人が相続する。 家と土地を長男と次男で共有とするなど、個々の財産を各相続人で共有して相続する。 財産が不動産のみの場合、不動産を売却し、その代金を各相続人が相続する。 財産が家業の事業のみの場合で長男が家業を継承する場合、長男が次男に相続分の現金を支払う。

 

③ 遺産分割調停、審判の申立

分割協議は相続人全員の同意を得る必要があるため、お互いの主張が衝突し、話し合いがまとまらない場合があります。相続人間での遺産分割協議がうまくいかない場合に、家庭裁判所に調停を申し立て解決する方法があります。遺産分割調停では、家事審判官と調停委員で構成される調停委員会が、公正中立な立場で、それぞれの相続人から言い分を聞き、具体的な解決策を提案するなどして、円満な解決に向けて話し合いが進められます。

相続人のうち1人もしくは、何人かが他の相続人全員を相手方として申し立てを行います。

申立先 相手方のうちの一人の住所地の家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所
費用 被相続人1人につき収入印紙1,200円、連絡用の郵便切手

調停では話し合いがまとまれば調停成立となり、裁判所で調停調書が作成されます。調停調書が作成されると、それをもとに強制的に決まった内容を実現させる強制執行も可能になります。

話し合いがまとまらず調停が不成立となった場合には、自動的に審判手続が開始され、裁判官による審判が行われます。遺産分割審判では、家事審判官が資料や証拠を調べ、必要があれば当事者や関係者に事情聴取を行います。こうした審理が行われた後、裁判所が最終的に遺産分割の方法を決定する審判を行うことになります。

遺産分割審判の告知を受けた当事者は、審判に不服があれば、2週間以内に即時抗告という形で高等裁判所に不服を申し立てることができます。即時抗告が行われた場合、高等裁判所で不服申立に理由があるかどうかの審理が行われます。即時抗告が行われなかった場合、遺産分割審判が確定し、審判書にもとづき強制執行が可能となります。

④ まとめ

■正確な財産調査により、「円滑な遺産分割」「正確な相続税申告」「故人の借金の肩代わりの回避」が可能となる。

■遺産分割協議は、相続人全員参加。全員の自署・押印が必要。

■分割協議がまとまらない場合は、家庭裁判所で遺産分割調停の申立ができる。

■遺産分割調停の審判に不服がある場合、2週間以内に高等裁判所へ即時抗告を行う必要がある。

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大下宏樹(代表社員 税理士・公認会計士)

会計事務所にて相続税申告業務を経験、大手監査法人勤務の後、相続税専門税理士法人better設立。 香川県で3代続く公認会計士・税理士一族の次男。3兄弟全員が同業。常にお客様の「better」を追求する相続税専門税理士。

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