相続税申告手続きの流れ

こんな人のために書きました!
・相続税申告手続きの流れが知りたい人

相続税の申告手続きは、非常に複雑です。また、相続税の申告及び納付は、相続発生日(お亡くなりになった日)より、10ヶ月以内に行わなければならず、期限を1日でも過ぎてしまうと、それに応じてペナルティが課されます。そうならないために、本日は相続税申告手続きの大まかな流れ及び注意点について見ていきたいと思います。

相続税申告手続きの流れと期限

相続税申告手続きの大まかな流れ、及び期限は下記の通りです。

期限 手続き
なるべく早く
1.遺言書の有無、検認
2.相続人(戸籍)調査
3.故人の財産調査
4.遺産分割協議・遺産分割協議書の作成
3ヶ月以内 5.相続放棄または限定承認
4ヶ月以内 6.所得税の準確定申告
10ヶ月以内 7.相続税の申告・納付

各手続きの概要と注意点

1.遺言者の有無、検認

まず、お亡くなりになった方(以下、被相続人)の遺言書があるかを確認します。通常、遺言書があれば、遺産分割はスムーズに行われます。
遺言書は、主に3種類あり、各々の注意点は下記の通りです。

公正証書遺言 秘密証書遺言 自筆証書遺言
作成方法 本人が公証人に遺言の趣旨を口授し、公証人がこれを筆記して遺言者および承認に読み聞かせる。 ・本人が遺言書に署名押印の後、遺言書を封じ同じ印で封印する。

・公証人の前で本人が住所氏名を記す。

・公証人が日付などを書く。

※パソコンによる作成、代筆化

本人が遺言の全文・日付(年月日)・氏名等を書き押印(認印可)する。

※パソコンによる作成、音声や映像による遺言は無効

場所 公証役場 公証役場 自由
証人 証人2名以上 証人2名以上 不要
署名押印 本人、公証人、証人(★) 本人、公証人、証人(★) 本人
家庭裁判所の検認 不要 必要 必要
長所 ・公証人が作成するため安全・確実。

・原本を公証人が保管するため、紛失・改ざんの心配がない。

・遺言の存在を明確にして、内容は秘密にできる。

・改ざんの心配がない。

・作成が簡単。

・遺言した事実も内容も秘密にできる。

・費用が発生しない。

短所 ・手続きが煩雑。

・遺言の存在と内容を秘密にできない。

・費用がかかる。

・証人が必要。

・手続きがやや面倒。

・内容が秘密なので紛争が起きることがある。

・証人及び検認が必要。

・紛失や改ざんの心配がある。

・方式に不備があったり、内容が不完全なことがある。

・検認が必要。

★公正証書遺言と秘密証書遺言の作成において証人になることができない人
①未成年者
②推定相続人および受遺者ならびにこれらの配偶者および直系血族
→遺言者の利害関係人は証人になれません。
③公正証書の配偶者および4親等内の親族・書記および使用人
→遺言の内容を知る立場にあるので証人になれません。

2.相続人(戸籍)調査

被相続人が生まれた時から死亡時までの戸籍謄本(除籍謄本・改製原戸籍謄本※)を本籍地の市区町村役場にて入手します。この戸籍謄本により、法定相続人が明らかになります。ここで、出生時からの戸籍謄本が必要である点に注意してください。つまり、被相続人の生前、結婚や転籍などで本籍地が変わった場合には、前の本籍地がある市区町村役場にも戸籍謄本を請求する必要があります。
結果として、10箇所の市区町村役場に請求したというケースもありますので、はやめに対応することをお勧めします。なお、戸籍謄本は、郵送で請求することも可能です。

3.被相続人の財産調査

被相続人が保有していた財産を洗い出します。被相続人が生前、財産目録を作成している場合は問題ないですが、そうでない場合は、ここを見ればすべてわかるといったものはありません。そのため、こちらもかなり時間を要する可能性がありますので、はやめに対応することをお勧めします。

主な相続財産の調査方法は下記の通りです。

財産の種類 調査方法
現金・預金 自宅金庫、通帳、カード、銀行の残高証明
不動産 登記簿謄本、固定資産納税通知書、権利書(登記識別情報通知、登記済証)
借地権、借家権 登記簿謄本、賃貸借契約書、不動産業者への問い合わせ
生命保険 保険証券、保険会社への問合せ
株式・その他有価証券 証券会社から送付される通知書、証券会社への問合せ、金庫等
ゴルフ会員権 金庫等
宝石、骨董品 自宅、貸金庫、別荘等
自動車、バイク、船 車検証等

 

4.遺産分割協議及び遺産分割協議書の作成

遺言書がない場合、相続財産の洗い出しが終わった時点で、相続人内で遺産分割協議を行い、遺産分割協議書を作成する必要があります。遺産分割協議及び遺産分割協議書の作成にあたり、主な注意点は下記の通りです。

  1. 遺産分割協議は、法定相続人全員が参加する必要があります。また、法定相続人のいずれかが行方不明や認知症で意思表示ができない場合には、不在者財産管理人や成年後見人などの代理人を立てる必要があります。
  2. 後日、新たな財産が見つかった場合に備えて、遺産分割協議書にはそういった場合にどうするのか(均等分割するのか、協議するのか)を明記するようにしましょう。
  3. 一度作成された遺産分割協議書は、原則として作り直すことができません。そのため、相続人全員が完全に納得した上で作成するようにしましょう。

なお、遺産分割協議がまとまらない場合には、家庭裁判所に調停の申し立てを行い、遺産分割協議を進めることになります。

5.相続放棄または限定承認

相続放棄や限定承認は、相続開始日より被相続人の最後の住所地管轄の家庭裁判所に3ヶ月以内に申請書等を提出しなければなりません。もし、3ヶ月を超えた場合には単純承認となり、プラスの財産だけではなく借入金などのマイナスの財産も全て相続することになります。そのため、借入金などのマイナスの財産が、想定より多くなり、現預金などのプラスの財産より多くなってしまったということにならないように、はやめに被相続人の財産調査を行うようにしましょう。相当の理由により財産調査が終わらない場合には、家庭裁判所に申述期間伸長の申し立てを行うことも可能です。

なお、相続放棄や限定承認の申請を行う前に、被相続人の財産を売却・処分などを行った場合には、単純承認を行ったと見做されるためご注意ください。

6.所得税の準確定申告

被相続人が下記に該当する場合には、相続日後4ヶ月以内に所得税の準確定申告を行う必要があります。

準確定申告が必須の場合

事業所得、不動産所得がある場合
給与が2,000万円を超えている場合
2箇所以上から給与を支給されている場合
メインの給与所得以外に20万円を超える所得がある場合
公的年金以外による雑所得以外の所得が20万円を超える場合
生命保険などの満期金や一時金を受け取った場
不動産などの資産を売却した場合
公的年金等の収入額の合計額が400万円を超えている場合

 

なお、医療費控除対象の多額の医療費を支払っていた場合など、確定申告を行うことにより源泉徴収された所得税が還付される場合もありますので、早めの確認が重要です。

7.相続税の申告及び納付

最後に、相続発生後10ヶ月以内に相続税申告書を作成・提出し、銀行等で相続税を納付して完了となります。相続税申告書は、被相続人の死亡時における住所地の所轄税務署に提出しなければいけない点にご注意ください。

税理士法人betterでは、低価格・定額で相続税申告代行業務を行っており、かつ相続専門の各種専門家と提携して相続に関するトータルサポートを行っておりますので、お気軽にご相談ください。

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安東 容杜(税理士・公認会計士)

大手監査法人勤務後、相続税専門税理士法人betterを設立。 2児のパパであり、日々育児に奮闘しながら、常にお客様の「better」を追求する相続税専門税理士。

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