相続税の申告書作成方法について

こんな人のために書きました!
・相続税申告をしようとしている人
・相続税申告書の作成手順が分からない人

こんにちは。
遺産総額が基礎控除額を超える方は、相続開始(死亡日)から10カ月後までに相続税申告書を管轄の税務署に提出し、かつ相続税の支払いまで行う必要があります。
しかし、平成29年度の国税庁実績評価書によると、相続税申告にあたっての税理士の関与割合は約84%であり、税理士を利用せずに個人で申告を行うのは困難な場合が多いようです。
https://www.mof.go.jp/about_mof/policy_evaluation/nta/index.html

そこで、今回は、相続税申告書の作成や提出にあたってのポイントを解説したいと思います。是非参考にして頂き、ご自身で相続税申告書を作成する際に役立てて下さい。

相続税申告書の作成方法等について

相続税申告書は第1表から第15表までで構成され、一般的には下記の手順で作成します。

①課税財産(相続税のかかる財産)及びお亡くなりになった被相続人の債務等について、第9表から第15表を作成します。

②次に、課税価格の合計額及び相続税の総額を計算するため、第1表、第2表を作成します。

③そして、税額控除の額を計算するため、第4表から第8表までを作成し、第1表に税額控除額を転記し各人の納付すべき相続税額を算定します。

申告書の書式については、国税庁ホームページから取得することができますが、申告書を作成する年度ではなく、亡くなった年に応じた申告書を使用することにご注意ください。
前年分の申告書を用いて提出をしても問題無いことが多いですが、相続税の改正があるような場合は、古い申告書をもとに作成すると申告を誤る可能性があります。

主な計算書や明細書は以下のとおりです。

各種表番号 表及び付表名
第1表 相続税の申告書
第2表 相続税の総額の計算書
第3表 財産を取得した人のうちに農業相続人がいる場合の各人の算出税額の計算書
第4表 相続税額の加算金額の計算書・暦年課税分の贈与税額控除額の計算書
第5表 配偶者の税額軽減額の計算書
第6表 未成年者控除額・障害者控除額の計算書
第7表 相次相続控除額の計算書
第8表 外国税額控除額、農地等納税猶予税額の計算書、株式等納税猶予税額の計算書
第9表 生命保険金などの明細書
第10表 退職手当金などの明細書
第11表 相続税がかかる財産の明細書、相続時精算課税適用財産の明細書、相続時精算課税分の贈与税額控除額の計算書
第11・11の2表の付表1 小規模宅地等についての課税価格の計算明細書
第12表 農地等についての納税猶予の適用を受ける特例農地等の明細書
第13表 債務及び葬式費用の明細書
第14表 純資産価額に加算される暦年課税分の贈与財産価額及び特定贈与財産価額・出資持分の定めのない法人などに遺贈した財産・特定の公益法人などに寄附した相続財産・特定公益信託のために支出した相続財産の明細書
第15表 相続財産の種類別価額表

 

国税庁ホームページに「相続税の申告のしかた」が公表されていますので、ご自身で相続税申告書を作成する際は、是非参考にしてみて下さい。
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sozoku/shikata-sozoku2018/index.htm

また、相続税の申告書や記載例については、国税庁のホームページより取得することができます。
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/sozoku-zoyo/annai/h30.htm

なお、第1表、第2表、第11表、及び、第15表については、全ての方が作成が必要です。
それ以外でよく利用されるのは、第5表、第9表、第11・11の2表、及び、第13表です。
その他の計算書や明細書についても、状況に応じて作成が必要です。

相続税の申告書は課税価格の総額記載が必要

第1表と第2表で、課税価格の合計額と相続税の総額を計算します。
第11表で、相続財産(土地・家屋・現預金・有価証券・その他財産など)や死亡保険金などのみなし相続財産を記載します。なお、財産の種類、細目の分類については、第15表の細目ごとに分類するようにして下さい。

第15表では、第11表や第13表に記載した金額を財産取得者ごとに集計します。

その他、相続税の申告で主要なもの

第5表では、配偶者の税額軽減額の計算を行います。配偶者が相続等によって取得した財産等を記載することで、配偶者の税額軽減の適用を受けることができます。
第9表では、相続税の対象となる死亡保険金の課税金額を計算します。死亡保険金は、500万円×法定相続人の数が非課税となります。なお、非課税の対象となる法定相続人の数には相続放棄した方は含まないのでご注意下さい。
第11・11の2表は、小規模宅地の特例を使う場合に記載が必要です。小規模宅地の特例について詳細は割愛しますが、一定の要件に該当する場合に、その宅地等の通常の評価額から一定割合を減額できる制度です。
第13表では、債務・葬儀費用について記載します。相続人となった方は、プラスの財産だけでなくマイナスの財産も引き継ぎます。そのため、相続税では、被相続人の債務を承継して負担するとき又は被相続人の葬式費用を負担するときは、相続又は遺贈により取得した財産の価額からその債務等の額を控除して相続税の課税価格を計算します。

以上、主な申告書について簡単に解説しましたが、申告書のより具体的な作成方法については、国税庁ホームページをご参照下さい。
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/sozoku-zoyo/annai/h30.htm

相続税申告書の添付資料について

相続税申告書を税務署に提出する際には、様々な添付資料が必要です。
いかなる場合でも必ず添付しなければならない書類には相続人全員の戸籍謄本等がありますが、実際には相続する財産の価額を証明するため多くの書類が必要となります。
例えば、小規模宅地の特例を適用して相続税申告を行う場合には、要件にあった添付資料を添付して申告を行わないと特例の適用が受けられずに税額が高くなってしまうだけでなく、ペナルティを請求される可能性もあるため注意が必要です。

国税庁ホームページの「相続税の申告のしかた」に、申告の際に提出が必要な主な書類が公表されていますので参考にしてみて下さい。
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sozoku/shikata-sozoku2018/pdf/10.pdf

また、例えば、以下のような、残高証明書等の参考書類は相続税申告書に添付することをお勧めします。申告書をしっかりと作成していることをアピールすることで、相続税の税務調査対象となる可能性が軽減できると考えられます。

金融資産

・亡くなった日時点の残高証明書
・被相続人の過去の通帳等コピー

不動産

・登記簿謄本
・地積測量図や公図の写し
・固定資産税評価証明書
・実測図や間取り図
・賃貸借契約書

死亡保険金

・保険金支払いのお知らせ等の書類や亡くなった日時点の残高証明書(解約返戻金証明書)
・保険証書コピー

債務・葬儀費用

・借入金がある場合には、残高証明書や金銭消費貸借契約書
・その他の債務や葬儀費用については、領収書コピーやメモ(心付けなどで領収書が無い場合)

相続税申告書の提出方法等について

相続税申告書の提出先は、被相続人の死亡当時の住所地を所轄する税務署です。
財産を相続した方の住所地を所轄する税務署ではありませんのでご注意下さい。
相続税申告書の提出方法は、直接持参しても、郵送でも問題ありませんが、郵送の場合は、送付した日付と記録が残るように、特定記録で送付することをお勧めします。
相続税申告書の関係書類は、税務署提出用1通、保管用1通を作成し、提出したことを明確化するために控えに税務署の受付印をもらうと良いです。

その他お困りの際は、下記の国税庁ホームページや、管轄の税務署に問い合わせてみて下さい。
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sozoku/shikata-sozoku2018/index.htm

まとめ

・申告書の様式や記載例は国税庁ホームページから取得できる
・根拠となる資料等はできるだけ添付することが望ましい
・不明点等は管轄の税務署に相談すると教えてくれる

以上、相続税申告書について解説しましたが、準備する書類や資料の数が多く、手続も複雑なため、ご自身での申告書作成が困難と感じた場合等は、是非お気軽にご相談下さい。

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徳永和喜(税理士・公認会計士)

大手監査法人勤務後、相続税専門税理士法人better入社。株式会社betterでbetter相続の開発に従事するエンジニアを兼務。税理士・公認会計士/エンジニアとして、より良い社会を実現すべく日々奮闘中。

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